発芽と出芽(VE)
播種後、種子は吸水を開始し、その量は種子重量のおよそ30ー35%になります。この過程で地温はあまり影響がありません。 その後、幼根の伸長が始まりますが、これには地温が関係します。一般的に発芽に必要な最低地温は10℃とされています。 幼根が伸び始めるとすぐ、種子から3ー4本の根が発生します。これらの根と幼根は種子根を形成し、幼苗の水分および一部の栄養分の吸収を担います。ただし、幼苗に必要な栄養の大部分は胚乳から加水分解された澱粉とタンパク質から供給されます。 冠部と冠根(永久根)の発生は出芽期(VE)に始まります。 トウモロコシは「地下性」の出芽を行います。これは子葉が地表よりも下に止まっていることを意味します。その後、中茎(最初の節間)が伸び、子葉鞘の先端を地表に押し上げます。
子葉鞘が地表面を突破した時が出芽期(VE)です。子葉鞘と中茎の伸長は日光で中断され、この結果、冠と最初の節根が発生する位置が地表から約2cm下に定まります。この値は播種深度が極端に浅い場合(3.8㎝未満)を除いて、ほぼ一定の値になります。生長点と葉の発生は、この位置を起点にさらに上へと進みます(図16)。 子葉鞘の出芽後、種子根の成長は減速し、およそV3ステージで止まります。節根組織が成長しても種子根組織は引き続き活動を続けますが、トウモロコシの成長に必要な水や栄養分を供給する割合は低下していきます。出芽した子葉鞘は中に幼芽(胚性植物)を伴い、さらに伸長します(図15)。
子葉鞘から胚性の葉が伸びて最初の葉(先端が丸い)となって展開する時期が栄養成長のV1ステージとなります(図16)。この後に発生する葉は全て先端がとがっています。表記法によっては最初の丸い葉をカウントせずにVEとV1の間のVCというステージで区別する場合もあります。