トウモロコシの生育ステージ
トウモロコシの生育ステージの決め方に関しては、複数の方法が存在しています。 ここで紹介するリーフカラー法はアイオワ州立大学が開発したもので、生育ステージを栄養成長期(V)と生殖成長期(R)に分けます。このシステムを使用することで、定義された植物生育上の生理学的段階が示されます。これは他の指標システムを使うよりも容易に生育ステージが区別できます。 この他の指標システムの中には葉数や草丈が含まれます(除草剤のラベルに用いられる)。展開する葉数や草丈はリーフカラーシステムに比べると正確ではありません。植物は種々の環境やストレスに反応し、草丈だけを見た場合、見た目よりも成熟して見える場合があります。 葉数法システムではリーフカラー(訳注:葉身の基部で襟状に折れ曲がる部分)の形成をカウントしません。そのため解釈に幅が生じて、生育ステージ判断の一貫性が低下しやすくなります。 世界の中でも温暖な地域(熱帯や亜熱帯)では、「登熟までの日数」が多くの生産者の指標となっています。これは播種日から「収穫可能」な日までの日数を示したものです。この方法は毎日の最低・最高気温にほとんど変化のない地域では実用性が高いツールとなっています。 カナダではクロップヒートユニット(CHUs)という温度だけでなく時間も考慮した利用されています。クロップヒートユニットの場合は最低気温が10℃以下であっても積算を行います。
栄養成長期
栄養成長期(V)は、葉のリーフカラーの部分で特色付けられます。トウモロコシの葉は葉身、葉鞘、そしてリーフカラーの3つの主要部分から構成されています。葉身は葉の平らな部分で日光を受容します。葉鞘は茎を包んでいる葉の部分です、そしてリーフカラーは葉身と葉鞘の間の境界線で、通常は明瞭に折れ曲がっています(図11)。トウモロコシの成長に伴って次々と新しい葉が現れますが、これは茎の伸長、そして種子から雄穂に至るまで順番に続く葉の展開によって起こります。最初に葉先、続いて葉身、最後にリーフカラーと葉鞘が出現します。 カラーが目で確認できる存在になった時、その葉は完全に展開したとみなされ、一つのステージとして数えられます。栄養成長期(表1)は出芽(VE)から始まり、雄穂抽出(VT)まで連続して出現する葉の順に数字を当てます。
相対熟期
トウモロコシはその相対熟期と生育環境に応じて葉を発達させます。米国のコーンベルト中央部(アイオワ、イリノイ、インディアナ、オハイオ)に適応した品種は、通20ー21枚の葉を展開させます。一方、早生品種の場合は成熟しても11-12枚の葉しかありません。最も熟期の遅い熱帯地域の品種の場合は30枚以上の葉を付けます。 VEからV14の間、それぞれにカラーを有する新しい葉が展開するには約37-47GDDs(℃)を要し、これは品種によっても異なります(図12)。 V15からVTにかけては、新しい葉の展開するスピードは速くなり、約27ー31GDDs(℃)で新しい葉が展開しますが、これも品種によって異なります。
生殖成長期
生殖成長期は苞葉から絹糸が出現する(図13)最初のステージ(R1)を除いて、雌穂上で発育する子実の外観によって定義され、6つのステージに分かれています(表1)。 米国コーンベルト地帯の平均的な品種は、出芽(VE)後約60ー65日(778GDDs℃)で絹糸抽出(R1)し、125ー130日(1556GDDs℃)で完熟(R6)に達します。暦日を用いてもGDDsを用いても、完熟に達するまでに要する時間の単位はトウモロコシ品種で異なります。