黄熟期(R5)
R5(黄熟期またはデント期)ステージは絹糸抽出後35ー42日頃で、生殖成長全期間のおよそ半分くらいの時期にあたります。子実は固い澱粉の外層が中心部の柔らかい澱粉を覆います。この中心部の柔らかい澱粉から水分が抜けて収縮が起こると、子実の頂部にへこみ(デント)が生じます(図38)。 このへこみ(デント)の大きさは、遺伝的要因と生育環境の両方に影響を受けます。フリント品種の場合は、へこみは極僅かか全く生じません。これはフリント品種の子実は固い澱粉が多いので潰れないためです。
ミルクライン
「ミルクライン」は硬い澱粉と柔らかい澱粉の境界にあたります。ミルクラインは子実の冠部から形成され、3ー4週間かけて徐々に基部(子実の先端部)まで達します。この際に要する時間は温度、水分の利用性、品種の遺伝的性質によって決まります。 ミルクラインは通常穂軸に向かって進んだ割合から1/4、1/2、3/4のように表現されます(図39)。 黄熟(デント)初期の場合、子実の水分はおよそ55%で、完熟期の乾物重量の45%が蓄積されています。またR5.5 (1/2ミルクライン)ではこれが90%に達します。(Mahanna et al., 2014) このステージでは包葉が枯れ始め、その色が失なわれます(図37)。また、このステージのストレスはデンプン蓄積と子実重量の低下を引き起こします。