ハリガネムシ
ハリガネムシ
ハリガネムシと総称される幼虫は、コメツキムシ科の中の10種程度で、地域によって生息している種は 異なります。トウモロコシの発芽直後の種子や根を食害する甲虫の仲間です。
成虫は体長7 ~17mm程度。老熟幼虫は体長20~28mm程度で、円筒形で細長く、皮膚は硬く光沢のある濃赤褐色。幼虫、または成虫で越冬し、成虫は植 物の根際や土壌中に産卵します。
幼虫の生育には数年かかり、多くの種が属するクシコメツキ類では1世代2-4 年の経過を要します。越冬幼虫は地温の上昇とともに活動を開始し、土壌中で播種後の種子 や幼茎、根等に頭部を陥入して摂食するため、不発芽や、幼苗の生育の遅れ、さらには幼苗が黄変した後に枯死する等の被害が生じます。
トウモロコシの他にもジャガイモ、根菜類、ムギ類、イネ科牧草等、多くの植物を食害します。...
品種の選定
品種の選定
~品種の早晩性~
子実コーン栽培は未だ始まってから日が浅く、サイレージ用とうもろこし(以下サイレージコーン)との区別がされていないケースが殆どです。
品種の早晩性は子実コーンの場合、播種から子実が完熟するまでの期間で表される一方、サイレージコーンは総体(茎葉と雌穂を合わせた地表部の作物体全て)の水分がある一定レベルにまで低下する期間(多くは水分70%)で表されています。
よってある2種類のとうもろこし品種を比較した場合、サイレージおける相対熟期の日数表記の差が5日であっても、子実の場合は同じ熟期という事もあり、また反対のこともあります。
~子実コーンに適した特性~
子実コーンの品種選定で特に我々が重要と考えているのは①収量性(稔実性) ②子実の品質(カビの耐性等) ③耐倒伏性...
根腐病
根腐病
根腐病はピシウム菌により発生し、根の腐敗と茎内部の空洞化により黄熟期ころに急速に萎凋し、倒伏や収量・栄養価の激減、サイレージの品質低下を引き起こす重要病害です。1980年代に発生が確認されその病原はPythium graminicolaとされていたが、温暖化に伴い発生が増加し、P.arrhenomanesの関与も明らかになっています。2011年には北海道十勝地域を中心に大発生しサイレージ生産に深刻な打撃を与えています。九州でも時々観察されますが、このピシウム菌以外にフザリウム菌やジベレラ菌が関与している可能性があります。これまでに抵抗性に関する遺伝的変異が報告されていますが環境変動が非常に大きいため、自然環境下での選抜は困難が伴います。品種の選定には、公表されている根腐病の罹病程度を参考にすることが必要です。
図1 根腐病に罹病した株
発生の要因...
播種の要点
播種の要点
春播きにおけるとうもろこしの播種適期は概ね地温が10℃になる頃です(ソメイヨシノの開花時期)。早すぎる場合は低温による発芽、生育不良が起こる可能性があります。また晩霜の影響を受ける可能性もあります。
低温障害によって出芽に影響した個体の例
霜害を受けた幼苗の例
夏播きの場合は気温が高い状態からのスタートとなり、圃場が乾燥しすぎることにより発芽や生育不良が起こる、急激な徒長により軟弱となり倒伏に弱くなる、などの可能性がありますので播種深度確保などの要点を抑えることが重要です。
乾燥条件下で播種深度が生育に影響をした例左:深い 右:浅い...
栽植本数と株間
栽植本数と株間
栽植本数は圃場の立地や作型、品種の特性によって前後しますが、北海道においては9,000本/10a前後、府県においては7,000~7,500本/10aが現状では一般的です。
子実コーンは疎植になれば雌穂は大きくなり、密植になると雌穂は小さくなります。但し収量を構成する要因は(雌穂1本当たりの子実の数)×(栽植本数)です。つまりほどほどに大きい雌穂が均一に数多く揃っているケースが最も高収量となります。よって、株間を均一に確保し、一定の株立本数とすることが、収量の安定には欠かせません。
畝幅に特段の推奨はありません。追肥や防除作業を行いやすい(トラクターが入り易い)畝幅、もしくはコーンヘッダーの情感に近い畝幅に設定し、栽植本数は株間で調整してください。
畝間(縦)と株間(横)の10a当たりの栽植本数の目安...
追肥
追肥
施肥設計の項にもある通り6葉期以降に養分吸収が急激に増加します。逆に言うと、この段階で養分吸収が上手くいかない場合は、収量に大きな影響があり、後からの改善は難しくなります。
特に要求量が高いのは窒素であり、降雨や滞水で流亡の可能性も高くなることから、窒素を中心とした追肥がコストを抑えつつも、高収量確保をする上での近道です。
写真は追肥試験の結果です。追肥の効果は施用直後ではなく、特に絹糸抽出前後に以下の写真のような顕著な差が見られ、最終的には雌穂の先端の充実度合いに差が出ます。
左:子実への養分転流により下位葉に窒素欠乏の症状が出た例右:追肥により窒素欠乏が軽微で済んだ例、いずれも同一圃場で同一品種
上:健全個体下:養分が不足し、先端の肥大が阻害された例...
苗立枯病
苗立枯病
2-4葉期にトウモロコシの地上部が急にしおれて枯死する病気で、糸状菌が原因です。原因はピシウム、フザリウム等の土壌病原菌で低温・多湿条件で播種をすると発生します。
また播種深度が深すぎる場合や、除草剤によるストレスが強い条件では発生が助長されます。このため、土壌が湿っている条件下で無理やり播種し、鎮圧ローラーをかけることも避けなければなりません。
環境変動が大きく、同一品種を播種した隣接する圃場でも発病程度が異なることもしばしば観察されます。一方、南方サビ病やごま葉枯病のような明確なものではありませんが品種間に緩やかな遺伝的差異が認められています。パイオニアでは現在この選抜をおこなっており、まもなく抵抗性品種をお届けできると思います。
図1 激しい苗立枯病...