雑草防除
~農薬ラベルの見方~
子実コーン栽培における除草剤の適用範囲の理解は非常に複雑です。結論から言うと、出来上がった子実コーンの用途で考えると比較的理解がし易いです。
子実コーンには農薬ラベルで言う「乾燥子実」と「飼料用とうもろこし」のどちらかが該当します。つまり乾燥させた子実コーンであっても、用途が食用の場合は農薬のラベルに「乾燥子実」や「とうもろこし」の記載がある薬剤しか使用できません(「飼料用とうもろこし」の記載があっても使用不可)。一方、子実コーンの用途が飼料用の場合はサイレージコーン用途でなくとも「飼料用とうもろこし」の記載がある薬剤しか使用できません。
ある2種類の農薬の使用方法から、作物名と適用雑草名部分を抜粋したものです。上段の記載であれば子実コーンが飼料用であれ、食用であれ薬剤は使用可能です。一方、下段の記載であれば飼料用の子実コーンにしか使用することが出来ません。
~使用可能な薬剤~
最近アップデートされた「農薬登録情報提供システム」が非常に便利です。食用と飼料用の分類に注意をして、薬剤の選択を行って下さい。以下はシステムの操作例です。
Step1
Step2
Step3(飼料用と食用でチェックする場所が異なることに注意)
Step 4 (左が飼料用の検索結果、右が食用の検索結果)
~土壌処理~
土壌処理は早期から雑草発生の多い地区では必須です。初期の雑草発生を抑制することで子実コーンの生育が良好になります。一方初期成育時に雑草と競合してしまうと、仮に最終的に雑草を駆除できたとしても収量に悪影響が出てしまいます
土壌処理の効果を安定させるポイントは①土壌表面の水分確保②薬剤が安定的に浸透、維持できる整地です。つまり乾燥し過ぎず、ある程度丁寧な整地が出来ていれば薬効は高く長持ちします。
但し整地を過度にする必要はありません。集中豪雨等によってむしろ表土が流亡する原因となりますので特に水田転作圃場においては土塊 1㎝未満を目指しての整地で良いでしょう。
~生育処理~
飼料用とうもろこし場面では同じ転作作物の大豆や麦場面で使用できない薬剤が複数使用可能です。難防除雑草に対しても高い効果を示すものが多く、これが輪作体系に組み込まれる理由の1つとなっています。
使用時期は各ラベルに記載の通りですが、雑草との競合を避けた方が子実コーンの生育(特に幼穂形成)に影響が少なくなる為、早期の散布が推奨されます。
取りこぼしや後発生がある場合でも、比較的遅い時期まで散布が可能な薬剤もあることから、状況に応じて2回目の生育処理を検討することが出来ます。
薬害はどのステージでも発生する可能性はありますが、特に子実コーンの個体自体が健全でない場合に顕著に見られます。それが農薬ラベルの散布時期内であっても薬害は発生する可能性があります。子実コーンの葉色が悪いなど生育が芳しくない場合は、生育が回復するのを待ってから薬剤散布を行って下さい。