乾燥調製の要点
子実コーンの乾燥には既存の米麦用循環式乾燥機や他の穀物で一般的に使用されている水分計を用いることが可能ですが、適した方法が整理されていないのが現状です。子実コーンは送風温度を120℃以上(穀温は60℃迄)にしても品質に問題はありません。むしろ子実の割れに影響を及ぼすのは、乾燥完了後の急激な冷却です。水分低下後も乾燥機内で通風をしながら徐々に温度を低下させるようにすることが肝要です。
先進地では過去の経験に基づき、子実の水分を後述の機器で読み取り水分14%以下とするように基準を設けています。これは収穫後に子実を14%、15%、16.5%、18%の水分まで乾燥をし、その後長期保管を行った結果14%が半年の常温貯蔵を経ても安定することが分かった為です。輸入子実コーンは15%程度の水分の場合もありますが、これは生産地が乾燥している、国内での使用も短期間で完了する為、腐敗等のリスクが低いことが理由です。一方国産子実コーンは場合によっては1年前後の貯蔵を見込む必要がある為、十分に水分を低下させリスクに備える必要があります。
水分計は一般的に使用されている㈱ケツト科学研究所製の穀類水分計(PM830、PM640-2など)用いて計測をして下さい。「とうもろこしモード」が付いている機種とそうでないものがありますので、付いているものは「とうもろこしモード」で、そうでないものは「大粒大豆モード」で計測して目標水分まで乾燥をして下さい。また原料は必ず20度程度に冷やしてから水分計測を数回行って下さい。これは穀温が熱いと水分計の読み取り値が低く表示され、原料が熱い状態で14%以内でも、原料が冷えた出荷時には水分値が14%を超えてしまう事がある為です。とうもろこしは粒が大きく、温度が低下するまでに時間を要する為、注意が必要です。
収穫後は速やかに乾燥を開始することが肝要です。収穫時水分が高いほど短時間で発酵や腐敗をし始めます。その後乾燥が十分であっても発酵や腐敗をしてしまった場合は、品質や臭いに悪影響が残ります。刈り取り時の水分が高く、外気温が高いほどそのリスクは高くなります。
収穫後の原料にコブや茎葉が多く入っている場合は、選別を行って下さい。これらの夾雑物は子実と比べて水分を吸収しやすいので、カビが発生しやすく、虫が卵を産み付けやすい為です。子実は夾雑物に比べ表面がツルツルしている為、これらのリスクは同じ水分であれば低くなります。
子実に割れや欠けが発生した場合は内部から粉が出ますので、夾雑物混入同様にカビや虫が発生しやすくなります。仮に割れや欠けのトラブルが顕著に見られた場合、14%以下の基準に留まらず13%以下にするなどの工夫で、貯蔵中のリスクを軽減することが出来ます。