南方さび病
南方さび病は英語でSouthern rustとよばれ、 病原菌Puccinia polysoraにより発生し、高温・多湿な九州などで多く発生していいます。 この病気は高温(25℃以上)と高湿度の条件を好み、熱帯および亜熱帯地域に多く発生しているものの最近では九州だけではなく東北でも発生が認められています。おおむね7月―10月に大きな被害がみられることがあります。九州では大発生が数年に一度の割合で起こっています。
南方さび病は菌に好適な条件下では生長が非常に早く、トウモロコシの開花期前後に発生すると数日で植物体全体に広がり、茎葉が急速に枯死してしまう場合があります。葉の表面に大量の鉄のさび状の胞子(図1)を形成するので明確に前述のさび病と区別がつきます。 南方さび病には、明確な品種間差があります。発生が予想される地域では、抵抗性品種を使うことが最も経済的な対策になります。
ライフサイクル
前作の罹病したトウモロコシの残渣に由来とする夏胞子がこの病気の始まりです。これが風と雨によって拡散し生育中のトウモロコシに達します(図3)。 次に、感染した個体からは胞子が生じ、これが二次感染を起こします。また胞子は風で数百キロ移動することができます。 平年よりも気温が高い年には南方さび病の発生がより激しくなり、登熟前に枯死に至るケースも見られ収量・品質への影響も大きくなります。Puccinia polysora はトウモロコシ以外にホスト作物は確認されていません。