根腐病
根腐病はピシウム菌により発生し、根の腐敗と茎内部の空洞化により黄熟期ころに急速に萎凋し、倒伏や収量・栄養価の激減、サイレージの品質低下を引き起こす重要病害です。
1980年代に発生が確認されその病原はPythium graminicolaとされていたが、温暖化に伴い発生が増加し、P.arrhenomanesの関与も明らかになっています。
2011年には北海道十勝地域を中心に大発生しサイレージ生産に深刻な打撃を与えています。九州でも時々観察されますが、このピシウム菌以外にフザリウム菌やジベレラ菌が関与している可能性があります。
これまでに抵抗性に関する遺伝的変異が報告されていますが環境変動が非常に大きいため、自然環境下での選抜は困難が伴います。品種の選定には、公表されている根腐病の罹病程度を参考にすることが必要です。
発生の要因
根腐病は、生育後期に大雨に見舞われ、その後に急激な高温環境 になった年に発生しやすくなります。発生初期は雌穂が垂下し、同時に茎葉が急速に枯れ上がります。 茎の柔組織が分解され、桿の中が空洞化するので、地際部で折れて倒伏することもあります。 図1に示したように、健康な株の間に株全体が萎凋し雌穂が垂れ下がった株を発見したら注意してください。 地際の茎を指の強くつまんで茎の状態を調べてください。これはピンチ法と呼ばれます。10%を超える株の茎が簡単に潰れるような状態なら間もなく倒伏を起こす可能性があります。収穫を早めることにより、激しい倒伏による減収を回避できるかもしれません。