ごま葉枯病 はトウモロコシ栽培で一般的な病害です。以前は熱帯や温暖な栽培地帯で特に問題となっていましたが、今日では東北や北海道でも問題となるケースが見られます。 九州などでは、生育後半に植物体全体が枯れあがり光合成が低下し、大きな減収を招く事例も見られます。このような場合には、抵抗性品種を選択することが重要です。一方で、軽度な発病は大きな減収要因とならないケース多くあります。 この病気も年次間変動や環境変動が非常に大きい特徴をもっています。 アメリカでは歴史的にみてごま葉枯病は大きな問題ではありませんでした。1970年代に特定の雄性不稔系統を使用してF1品種の生産が始まると、これから生産されたF1品種が病原菌レース T に激しく感染して広範な発生をみました。 今日では品種改良も進み、ごま葉枯れ病に対する抵抗性品種が流通しています。
ライフサイクル
ごま葉枯病はBipolaris maydis という糸状菌によって発病し、二つの代表的な病原菌レース(0とT)が存在します。両方のレースは共にトウモロコシに害を及ぼしますが、特にレースTは感受性の強い特定の品種に対して強い活性を示します。 病原菌は主として前作のトウモロコシ残渣表面で越冬し、そこから風や雨水の跳ね上がりによって胞子が新しいトウモロコシの葉の表面に付着し、さらに気孔を通じて内部へ侵入します。高温多湿条件(20-30℃)で葉の表面に水が存在する条件が病原菌の増殖には好適です。このような条件下では病原菌は非常に速く(60-72時間)ライフサイクルを完了することが出来ます。
症状と病害
ゴマ葉枯れ病は下葉から発病し徐々に上位葉に広がります。病斑は変異に富んでおり、トウモロコシ品種の遺伝的なバックグラウンドに影響を受けます。 レース0の病斑は通常葉の表面に見られサイズは 2-6mm x 3-22mm、色は黄褐色、形は長方形-楕円形です。ゴマ葉枯れ病の病斑は両サイドが並行している場合も多く、このためグレイリーフスポット(GLS)と混同される場合があります。GLS の病斑は明確な長方形で、葉脈を超えて拡がらないのが違いです。 レースTの病斑は 6-12 ㎜ x 6-27mm、色は黄褐色ですが、後に縁は暗赤褐色を呈します。レースTの場合は葉だけでなく茎、葉鞘、苞葉、穂柄等でも発病します。子実に黒いフェルト状のカビが発生し、収穫ロスを引き起こす雌穂の腐敗が起きる場合もあります。また感染の広がりにより登熟前に葉が失われることで茎が腐敗する危険も高くなります。


防除
残渣の処理(埋め込み等の処置)は病害の程度を抑制しますが、病原菌は埋められた残渣で生存します。輪作も病原菌の低減には効果がありますが、病害対策として最も有効な手立ては抵抗性の品種を作付けすることです