施肥設計
子実コーンの生育には16の要素が必須とされています。このうち13要素が土壌から供給されます。また大気と土壌中の水分から残りの3要素(炭素と水素そして酸素)が供給されます。下表は13種類の養分のうち定量が可能な11要素の養分吸収量を目標収量ごとにまとめたものです(各要素の単位は㎏/10a)
基肥の施用量は目標収量を決定後、窒素を中心に調達しやすい肥料で供給量を決定してください。堆肥や追肥での養分補給により基肥の施用量を減らすこともできますが、特に堆肥は成分にバラツキがありますので、成分の把握が重要です。
下表は主要な生育ステージで推定されるトウモロコシの3要素(窒素・リン酸・カリ)の養分吸収パターンを示しています。子実コーンの形態は6葉期から12葉期かけて劇的に変わり、また同時に養分要求量も大きく増加します。雌穂は多くの品種で7葉期以降にその形成が始まります。
最大の子実収量を得るためには要求量を満たす養分が継続的に供給されることが必要です。6葉期から12葉期における、毎日の養分供給が雌穂の初期発生や発達を支えています。更にこの期間、子実コーンはそのサイズや草丈が大きく増加します。養分供給は雌穂にのみならず茎葉組織が健全に成長するために必要です。新しく展開した葉は子実に糖を供給する光合成の工場となり、一旦養分を葉に蓄えた上で登熟期に子実へ十分な糖を供給することで、子実肥大をして子実の重量が増加します。
土壌からの養分吸収は乳熟期から完熟期の間も続きます。しかし、その量は6葉期から絹糸抽出期の頃と比べるとかなり少なくなります。乳熟期から完熟期にかけ、子実の登熟/肥大に必要とする養分要求量が非常に高いことを考えると、矛盾するように思えます。これは乳熟期から完熟期には根の新しい成長はほとんどなく、土壌からの養分吸収量が相対的に低下する為です。子実コーンは土壌からの限られた養分供給を、茎や古い葉に貯蔵された養分を雌穂へ転流することで埋め合わせます。
よって生育前半の栄養成長が良好であることが高い収量を得るための重要な要件の一つとなります。茎葉組織に蓄えられた養分は後から雌穂に移動し、生育終盤の子実の登熟を支えます。もし栄養成長期にとうもろこしの生育が不良であれば、結果子実収量も低下します。