アワノメイガ
幼虫がトウモロコシの稈や雌穂の中に侵入するガの一種で、最も普通に見られる重要害虫です。茎などに孔を開けて侵入していくため英語でCorn Borerと呼ばれます。終齢幼虫は体長20-25mm、頭部は暗褐色、体はやや透明な淡褐色で小黒点が点在します。 アワノメイガは幼虫で越冬し、春先に蛹化して成虫になります。 2-3 齢以降になると植物体に孔を開け、内部に侵入するようになります。 トウモロコシの生育初期は未展開の葉や葉鞘を食害し、雄穂形成期以降は雄穂への侵入、絹糸抽出前後からは雌穂へ侵入することが多くなり、侵入孔の周囲には乳白色~黄色の虫糞や破砕くずが堆積します。 食害部は組織が脆弱になるので折れやすく、稈では下部 の方で折損すると機械収穫が困難になります。また、雌穂では雌穂柄が折損すると雌穂が垂れ下がってしまい、特に完熟期収穫の場合には台風通過時の強風や収穫 機械の震動が加わると容易に雌穂が落下するように なります。 幼虫の食害部はカビが侵入しやすくなるのでかび毒蓄積や汚粒発生等の品質低下を招くため、注意が必要です。 この害虫の発生回数は地域によって異なり、1年の間に北海道では1回または2 回、東北では2 回、関東以西では3回、暖地では4回と、暖かい地域ほど発生回数が多くなります。 西日本地域では、アワノメイガの被害と、トウモロコシの播種時期に明確な関係性が観察されています。4月播種したものには被害が少なく、5月中旬-6月播種は最も被害が大きくなります。梅雨があけた7月中旬以降の播種にはまた被害が少なくなります。 特にこの地域では、5月中旬-6月播種のトウモロコシが出穂期を迎えると雄穂の基部が食害を受け、折損し全く花粉が出なくなることは珍しいことではありません。こうなると子実は全く結実しません。